介護用ベッド 取扱 見直し 運動の成果 厚労省が通知4月から
厚生労働省は二月二〇日、軽度者に対する介護用ベッドの取扱いについて、四月から見直すと発表しました。昨秋実施した「実態調査」をふまえたもの です。「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、利用の可否の「判断方法」を示し、パブリックコメントを募集しています。全日本民医連は、活用の 準備とともに、必要な軽度者すべてが利用できるよう厚労省に要望を強めようと呼びかけています。内容について林泰則事務局次長に聞きました。(意見募集案 内は厚労省ホームページに。http://www.mhlw.go.jp/public/index.html
三月二九日まで)
厚労省の見直しは左表のような内容です。秋に実施した「特殊寝台等の利用状況に関する実態調査 (二八二五事例)」から、利用対象外にしていたケースの中に、「例外として給付の対象とすべき事案」が存在することを認めました。そして「貸与の基本的な 枠組みは変更しない」が、利用の可否の「判断方法」を見直しました。
わずか5カ月で修正
私たちは、福祉用具とくに特殊寝台の利用打ち切りで深刻な影響を受けた利用者の声を国や自治体 に集中し、制度の見直しを求めてきました。昨年八月には、一六一の困難事例を分析し、利用制限・打ち切りで、日常生活の維持・継続に支障をきたしている ケースを類型化し、厚労省に示しました。各自治体には、事例にもとづいて実情を訴え、国への意見書提出を要請するとともに、利用継続に対する助成を求めて 運動してきました。厚労省の緊急調査実施は、ケアマネや利用者の声と要求が反映したものです。経過措置の打ち切りを強行した昨年一〇月からわずか五カ月で 修正させたことに確信をもちましょう。
まだ不十分、改善を
しかし、見直しはまだ不十分です。特殊寝台を必要とする軽度者すべてが、利用ができるよう重ねて改善を求める必要があります。当面、以下のことを要求します。
(1)腰椎圧迫骨折や腰部脊柱狭窄症など、運動器疾患にともなう動作、移動の困難なケースも対象にすること。定期的に実態調査を行い、利用者の実情に見合った改善を積み重ねること。
(2)「判断方法の運用」では、医師の意見などを確実に尊重し、市町村が恣意(しい)的な解釈をしないよう、国が適切に指導すること。
(3)今回の規定は、新規の利用にも適用すること。
見直しはしても、その扱いはあくまで「例外として給付する」という限界があります。特殊寝台貸与の判断基準を、「ベッド柵につかまれば」「ギャッジアッ プすれば」寝返りや起き上がりができる人にも対象を広げるとともに、認定結果と実際の状態にギャップが生じたり、利用者に不利益が生じないよう認定システ ムを見直すことが必要です。
この五カ月、泣く泣く利用を止めたり、自費で購入するなど、利用者は多大な実害を被りました。給付費抑制のため機械的に打ち切った厚労省の責任は重大で す。引き続き、介護保障に対する公的責任を求める運動をすすめましょう。
【例外として給付される対象】
疾病やその他の原因によって、
(Ⅰ)状態が変動しやすく、日によってまたは時間帯によって頻繁に利用が必要な状態
…パーキンソン病、リウマチなど
(Ⅱ)状態が急速に悪化し短期間のうちに利用が必要になる状態…末期癌
(Ⅲ)身体への重大な危険性または症状の重篤化の回避など、医学的判断から利用が必要な状態…喘息など
【判断方法】
(ア)医師の意見(医学的な所見)に基づき、(イ)サービス担当者会議等を経た適切なケアマネジメントの結果をふまえ、(ウ)市町村が「確認」している場合
(民医連新聞 第1400号 2007年3月19日)